保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業:めばえ行政書士事務所の解説

こんにちは。めばえ行政書士事務所の玉田です。
処遇改善は簡単になるどころか、年々複雑になってきました。今回は、急なスタートとなった「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」について、制度内容やよくある誤解をご紹介・解説します。


保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業とは?

制度内容

「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」として、「保育士・幼稚園教諭等を対象」に賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提に収入UPを目指した補助金

対象施設

教育・保育施設、事業所

補助内容

①経済対策に基づく処遇改善として、賃金改善部分を3%程度引き上げる
②国家公務員の給与改定(人事院勧告の減額分)の0.9%に対応したもの

対象者

保育教諭、保育士、幼稚園教諭だけでなく、調理員や栄養士、事務職員等、対象施設に勤務する全ての職員。ただし、法人役員を兼務する施設長や延長保育・預かり保育のみに従事するなど、通常の教育・保育以外のみに従事している職員は対象外です。

上記補助内容の①は令和4年2月~9月の賃金改善部分に対応するもので、②は令和4年4月~9月に対応する2本立ての補助金になります。交付申請としては、2月中に提出締切となっている自治体がほとんどだと思います。

よくある誤解

  • 職員側は一律に9,000円をもらえると思い、法人側は一律に9,000円を支払えばいいと誤解している
  • 令和4年9月まで支払えばいいと誤解している

内閣府資料でも「収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための費用を補助」という内容が記載され、報道でも9,000円という金額が出ていることから、9,000円という金額が独り歩きしています。
そのため、上記のような誤解が多いです。

しかし、実際の金額は、公定価格(地域区分、定員区分、年齢区分等)からの補助基準額、令和3年度の年齢別平均利用児童数(見込み)、事業実施月数で補助金額を算出し、対象者に割り当てることになります。

そのため、対象者が多い施設は、1人当たりの単価が月額9,000円を下回る場合もありますし、逆に対象者が少ない施設(特に小規模保育事業)は1人当たりの単価が9,000円どころか、10,000円以上になるところも多いです。

また、この制度は令和4年9月までが実施期間ではありますが、令和4年10月以降は補助金ではなく公定価格に組み込まれていく予定なので、10月以降もずっと支払いを継続することが前提となっています。

重要なポイント

さて、この一人当たりの支給額ですが、一律ではなく、上記の理由から異なってくることを説明しました。この「一人当たりの単価」は一度設定すると、今の制度内容では今後もその単価を下げることができません。

極端な話、当初は対象人数が少なかったので一人当たりの単価が2万円となってしまったが、10月以降、対象者が増えて1万円にできるとなった場合でも、当初に2万円を設定して支払っているので、10月以降も2万円を支払い続けなくてはならないということです。

これは特に小規模保育事業に該当するパターンですが、この場合は、差額の1万円に対して補助金は出ないので、施設側(事業所側)が負担(持ち出し)することになります。
ここは想定していない方がほとんどだと思います。

このように、処遇改善の制度設計は不公平な部分が多くあります。今後は変わるかもしれませんが、現状では、これが内閣府子ども・子育て本部の見解です。

社会福祉法人の注意点

この 「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」(以下、「臨時特例」とします。)を実施するにあたり、賃金規程を改正する法人もあると思います。

例えば社会福祉法人の場合ですが、賃金規程を改正することは、理事会の決議事項になります。

また、この臨時特例は令和4年2月から実施する必要があるので、2月と3月は、令和3年度の補正予算に関係しますし、令和4年4月以降は、来年度の予算案に関係してきます。どちらも理事会の決議事項になります。

この部分に関しては、日々の保育事務の中で、処遇改善の交付申請ばかりを気にされるかもしれませんが、実際には、理事会の決議事項等の法人運営にも関係してくるので注意が必要です。

3月に予算関連の理事会を開催する社会福祉法人が多いと思いますが、ここは気をつけるポイントとなります。

めばえ行政書士事務所のサポート

既にめばえ行政書士事務所をご利用いただいている法人様は臨時特例の一人当たりの単価の関係を含め、理事会の決議事項等も考慮して、提案書、議事録等をサポートしております。これは、教育・保育事業や社会福祉法人を専門としているめばえ行政書士事務所ならではの強みです。

今後も保育現場そのものに集中していただけるよう、保育事務や法人運営に関する複雑な部分はめばえ行政書士事務所が縁の下の力持ちとしてしっかりとサポートさせていただきます。

めばえ行政書士事務所のご利用について

めばえ行政書士事務所は施設等への訪問相談をはじめ、オンライン(zoom)、電話等で相談ができます。ご相談は予約制です。

オンライン相談は事前予約により、土日祝日・夜間でも全国対応可能です。
オンライン相談のご予約は、 TEL:082-876-1123 (受付時間:平日9:30~17:00)または、お問い合わせページからご連絡ください。

処遇改善にお悩みの方、社会福祉法人の法人運営にお悩みの方は、めばえ行政書士事務所にお気軽にお問い合わせください。各種申請や顧問等につきましては、ホームページの保育所運営社会福祉法人のページもご参考にしていただければ幸いです。

投稿者プロフィール

めばえ⾏政書⼠事務所代表 ⽟⽥静⾹
めばえ⾏政書⼠事務所代表 ⽟⽥静⾹
▼ 主な取扱業務
[事業者の方]教育・保育事業(認定こども園、保育所等の運営)、社会福祉法人関連、各種補助金申請のサポートなど
[個人の方]離婚協議書、遺言相続・任意後見サポートなどの身近な暮らしのご相談